もの忘れ

もの忘れ

認知機能が低下してもの忘れの頻度が多くなることを軽度認知障害（MCI）と呼びます。MCIは、健常者と認知症との間を指す状態です。認知症は進行性の症状ですが、MCIの段階であれば健常な状態に回復することが可能なので、MCIの早期発見・早期治療はとても重要になります。

軽度認知障害（MCI）について

認知症ではないが、健康な時と比べて認知機能が低下している状態を指す言葉です。認知症の一歩手前の状況であり、日常生活に大きな支障はありませんが、そのまま放置してしまうと認知症に進行する可能性があります。

適切な予防を行うことで健常な状態に回復する可能性があり、早めの対策が重要です。MCIは、1年で5%〜15%が認知症へ進行する一方、1年で16%〜41%は健常な状態に戻ることも判明しています。

認知症は進行性の症状であり、一度発症すると根本的な解決策はありませんが、MCIの段階では認知機能の回復が見込めるます。

「日常生活は送れているが、本人や家族によってもの忘れを指摘されることが多くなった状態」。65歳以上のMCIの方の割合は15%〜25%のため、65歳以上でもの忘れが多くなってきたように感じる場合には、MCIを疑います。

軽度認知障害（MCI）の原因

原因として、アルツハイマー病や脳血管障害などが考えられます。最も大きな原因としてアルツハイマー病で、「アミロイドベータ（β）」と呼ばれるたんぱく質の脳への蓄積によって発症することがわかっています。

MCIの段階では、認知機能の低下がみられるものの日常生活への支障はなく、一人でも問題なく日常生活を送ることが可能です。しかし、認知症を発症すると、食事・入浴・トイレのほか、家事・金銭管理といった動作に障害が発生し、家族や周囲の方からの支援がなければ日常生活が困難となります。

MCIの初期症状

何度も同じことを質問したり
何度も同じことを話したりする
置き忘れや探しものをする頻度が多くなった
慣れ親しんだ家事・作業に時間がかかるようになった
これまで楽しんできた趣味・人付き合いを避ける
外出が億劫がるようになる
から⑥の兆候がある場合、本人の自覚がなくてもMCIが進んでいると考えます。早期に適切な治療や認知機能トレーニングに取り組むことで、健常な状態に回復することも可能です。

「もの忘れ」

加齢とMCI・認知症ではどこが違うの？

MCIや認知症によるもの忘れは、直近の出来事であっても忘れてしまうケースが多く、新しいことを覚えられないという特徴があります。

食事をしたこと自体を忘れて、「まだ夕食を食べていない」と家族に催促する言動がみられます。自分が何かを忘れているという自覚が全くないのが特徴です。

一方、加齢によるもの忘れは細部を思い出せないケースが挙げられます。たとえば、昨日の夜に夕食を食べたことは覚えているが、具体的なメニューが思い出せないといった場合です。自分が何かを忘れているという自覚があるのが特徴です。

加齢によるもの忘れではなく、MCIや認知症の初期症状としてのもの忘れがみられるかどうかをチェックすることにより、診断・治療が必要な状態か判断することができます。

すでに認知症へ進行していた場合にも、早期発見・早期治療によって症状の悪化を遅らせることが可能なので、「もしかしたら認知症かも？」と思ったら早めに病院を受診するようにしてください。

MCIから認知症へ進行しないための対策について

糖尿病・高血圧・脳卒中などの生活習慣病が大きな原因になっています。生活習慣病のコントロール不良が認知症の発症リスクをもたらすため、生活習慣病の予防と継続治療が大切です。

和食を中心とした食生活と喫煙・飲酒を控えることが効果的です。

散歩や水泳といった適度な有酸素運動を取り入れることは、認知症の予防に効果があることが判明しています。運動によって脳への血流量が増加し、神経細胞を増やす働きがあるためです。

自宅で一人きりで過ごすことなく、お友達や他の人とお話をしたり、一緒に作業をすることが大切です。

早期発見・早期治療を

MCIの兆候や認知症の初期症状に当てはまる言動がみられる場合には、早めに受診をお勧めします。

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