骨粗鬆症
骨粗鬆症について
骨の量が減り、骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気のことです。骨が弱くなると体の重みで骨がつぶれてしまうことがあります。これを圧迫骨折といいます。圧迫骨折になると、背中が丸くなり25歳の頃と比べて身長が2cm以上低くなります。また、内臓が圧迫される為、消化不良、便秘、胸焼けなど食道・胃など内科疾患と思われる方もいます。
骨粗鬆症の原因について
骨の量が減り、骨が弱くなる原因は2つあります。
- 女性は50歳前後になると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下するため、骨を作るカルシウムの吸収が悪くなり、骨が弱くなります。
- 特定の病気や薬が原因で、骨代謝や骨形成に影響するホルモンが不足した結果、骨が弱くなります。
骨粗鬆症の自覚症状について
骨粗鬆症は自覚症状が乏しいためなかなか本人は気が付きません。
1から4の症状がある場合は骨粗鬆症の可能性があります。
- 背が縮んだような気がする
- 背中や腰が曲がったような気がする
- 背中や腰の痛みで動きづらい気がする
- 腰が痛いがレントゲン検査では異常なし
気がすると思われた方は腰のレントゲン、骨密度検査を受けて下さい。そのままにしておくと進行して突然、骨折することも少なくありません。
骨粗鬆症で骨折しやすい場所は
骨粗鬆症で骨折しやすい場所は、4ヶ所あります。特に大腿頚部骨折の場合は手術入院、腰椎骨折の場合は1ヶ月以上の安静・リハビリ入院になる可能性がとても高いです。
進行を遅くする予防方法
最も大切なことは生活習慣の見直しです。大きく3つあります。
1.運動はとても大切です
運動により骨に負荷がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり、強くなる性質があります。 散歩を日課に、階段の上り下りを取り入れるなど日常生活のなかでできる運動を心がけて下さい。
とても有効な運動として散歩(ウォーキング)、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、ご自身の体の状態にあわせて無理なく続けることが大切です。頻度として週2日から3日の運動で十分です。
2.日光浴でビタミンDをつくろう
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることにより体内で作られます。適度な日光浴として冬は30分~1時間程度散歩に外出、夏は直射日光を避けて木陰で30分程度過ごすだけで十分です。 ほとんど屋内で過ごす高齢者や、美容のために過度な紫外線対策を行っている方は、ビタミンD不足になっています。運動をかねて積極的に外出する機会をつくって、上手に紫外線と付き合いましょう。
3.食事をしっかりとりましょう
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど骨の形成に必要な栄養素を積極的に摂りましょう。 カルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率がよくなります。
また、高齢になるとほとんどの方が、小食になりタンパク質の摂取量も不足します。 タンパク質の摂取量が少ないと骨密度低下が進行するので、意識して摂取しましょう。バランスがよい食事を規則的に摂るのが、食事療法の基本です。
カルシウム(Ca)
牛乳、乳製品、小魚、小松菜、チンゲンサイ、大豆製品(豆腐・豆類)
ビタミンD
鮭、うなぎ、さんま、めかじき、いさき、カレイ、しいたけ、きくらげ
ビタミンK
納豆、ほうれん草、小松菜、にら、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツ
逆に控えめにしたい食品、避けたい嗜好品
スナック菓子、インスタント食品、アルコール、カフェインを多く含むコーヒー、タバコ
1から3を実行しても半年ごとの骨密度測定が改善しないようなら、内服薬の見直しや骨粗鬆症の内服薬や注射を必要とします。
骨密度検査について
骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。 密度を測定することにより骨の強さを判定します。骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて、自分の骨密度が何%かにより骨折のしやすさを判定します。
骨密度を調べる検査方法は、精度の高いDXA(デキサ)方法、超音波法、MD(エムディ)法があります。
DXA(デキサ)法
X線により腰の骨(腰椎)や脚のつけ根(大腿骨近位部)の骨密度を正確に計測します。
超音波法
かかとやすねの骨に超音波をあてて測定します。 骨粗しょう症の検診に用いられることが多く、妊娠中の方でも測定することができます。
MD(エムディ)法
X線で手の骨を撮影することにより骨密度を測定します。
骨密度検査は、骨の健康を知る上で重要な手がかりです。 特に女性は症状が無くても、40歳以上になったら定期的に骨密度を測ることをお勧めします。
レントゲン検査
主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無を確認します。
身長測定
25歳のときの身長と比べどのくらい縮んでいるかを調べます。2cm以上、身長が低下していたら骨粗鬆症と診断する指標になります。
血液・尿検査
骨代謝マーカーを採血や尿で調べることにより骨の新陳代謝の速度を知ることができます。骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人は骨密度の低下速度が速いことから、骨密度の値にかかわらず骨折の危険性が高いと言えます。他の病気で骨が弱くなっているのかを調べる目的でも行われます。
骨粗しょう症の診断について
骨粗しょう症は主に骨密度と骨折の有無によって診断されます。自覚していない、しらいないまま骨折、脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折の場合もあるので、診断のためにはレントゲン検査が必要です。
※脆弱性骨折:転倒、もしくはそれ以下のわずかな外力で生じた骨折
診断基準
脆弱性骨折がある場合
- 背骨(椎体)、または脚の付け根(大腿骨近位部)の骨折
- その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満
脆弱性骨折がない場合
- 骨密度がYAMの70%以下、または―2.5SD(標準偏差)以下
YAM : 若年成人平均値(腰椎/20∼44歳、大腿骨近位部/20∼29歳)
骨の強さは「骨密度」だけでなく+「骨質」となりました
骨粗鬆症は、骨密度が低下して骨折しやすくなると考えられていたため、予防にあたっては「骨密度」を改善することだけが考えられていました。しかし、骨密度が正常範囲であるにもかかわらず、骨折リスクが高い患者さんがいることがわかり、その原因を調べると、人によって「骨質(こつしつ)※」に違いがあることが明らかになってきました。そこで、骨粗しょう症の定義は「骨強度が低下して、骨折しやすくなる骨の病気」とあらためられ、「骨強度」には骨密度が70%、「骨質」が30%関係していることが分かりました。
つまり骨粗鬆症は、骨密度の低下と骨質の劣化により骨折リスクが高まる病気と考えられるようになりました。
骨の強さに影響するコラーゲン架橋
「骨」といえばカルシウムを連想しがちですが、骨の体積の50%は、コラーゲンです。たとえば骨を鉄筋コンクリートの建物とすると、カルシウムはコンクリートで、コラーゲンはコンクリート内に埋まっている鉄筋となります。
鉄筋(コラーゲン)の強さを左右するのは、鉄筋同士をつなぎとめるコラーゲン架橋で、これはいわば梁(はり)の役目をして、建物全体の強さにまで影響を及ぼしています。 さらに、このコラーゲン架橋には「善玉架橋」と「悪玉架橋」があり、悪玉架橋が増加すると、コラーゲン同士のつなぎとめが弱くなり、しなやかさが失われ、硬くてももろい、折れやすい状態となってしまいます。
悪玉架橋は加齢とともに増えるほか、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病によっても増えることが分かっています。こうした生活習慣病の患者さんでは、骨密度検査で正常に近い結果が出ても骨折リスクが高いことがあります。
内服および注射による治療方法について
骨粗しょう症の薬は大きく3つに分類されます。
(1) 骨吸収を抑制する薬
骨吸収がゆるやかになると、骨形成が追いついて新しい骨が骨の吸
収された部位にきちんと埋め込まれ、骨密度の高い骨が出来上がり
ます。 女性ホルモン製剤(エストロゲン)、ビスフォスフォネート製
剤、SERM(塩酸ラロキシフェン、バゼドキシフェン酢酸塩)、カルシ
トニン製剤、デノスマブ
女性ホルモン製剤(エストロゲン)
女性ホルモンの減少に起因した骨粗鬆症に有効です。閉経期のさまざまな更年期症状を軽くし、併せて骨粗鬆症を治療する目的で用いられます。
ビスフォスフォネート製剤
破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えることで、骨密度を増やす作用があります。 経口剤、注射剤などがあります。服用の仕方として4週間に1回、1週間に1回、1日に1回などがあります。
SERM(サーム:塩酸ラロキシフェン、バゼドキシフェン酢酸塩)
骨に対しては、エストロゲンと似た作用で骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。
カルシトニン製剤(注射薬)
骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗しょう症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。
デノスマブ(抗ランクル抗体薬)
破骨細胞の形成や活性化に関わるたんぱく質(LANKリガンド)に作用して、骨吸収を抑制します。6ヵ月に1回の皮下注射のため、継続しやすいというメリットがあります。
(2) 骨の形成を促進する薬
活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)
活性型ビタミンD3製剤
食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。骨粗鬆症治療では古くから使われている薬です。
ビタミンK2製剤
骨密度を著しく増加させませんが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防効果が認められています。
テリパラチド(副甲状腺ホルモン)
新しい骨をつくる骨芽細胞を活性化させ、骨強度を高めます。骨密度が非常に低いなど骨折リスクが高い患者さんに適した薬です。現在、1日1回患者さんが自分で注射をする皮下注射剤と、週1回医療機関で皮下注射してもらうタイプとがあります。
(3) カルシウム製剤
カルシウムは骨をつくる主要な成分であり、欠かせないミネラルです。骨粗鬆症患者さんでは食事の摂取と薬の摂取量をあわせて1000mgが望ましいとされています。
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